乱気流

乱気流

乱気流。地上で生活している分にはまったく気にならないものですけれど、いざ飛び立ってみると恐ろしいものです。客室乗務員の方はかなり乱気流で怪我をされているみたいですし最近はあんまり聞かない気もしますが、乗客数名が乱気流で怪我、みたいなニュースもたまにありますね。

先日、乱気流にあいました。成田空港を20時過ぎに出る便で、まぁ予兆はありましたね。最初のアナウンスで気流の乱れたところを通過することもあるからシートベルトしめてろ、みたいなことをおっしゃっていたので。乱気流が起こったのはよりにもよって機内食がサービスされている時間帯でした。なんか大体離陸して一時間くらいするとドリンクとおつまみのサービスがあって、それからちょっとすると機内食が配られるんですが、この終わりくらいに乱気流があったんですね。JALだったんですけれど、ごはんの終わりごろにあたたかい飲み物を入れてくれるんですよ。ホットコーヒーなり、緑茶なり。で、そこへ持ってきての縦揺れですから大変ですよ。きゃあ、という女の悲鳴。折り畳み式のテーブルの上で跳ねるサラダ、パン。私はあわてて片手でカップを抑えつけましたけれど、手のひらの下で緑茶がはねるはねる。隣の席で友人は蓋をするのが間に合わなくて少しですけれどこぼしてしまいました。悲惨だったのは後ろの席のお嬢さんで、どうもビールかジンジャーエールみたいなものを飲んでいたみたいなんですが、それを思いっきりコップ一杯床にぶちまけてしまいました。彼女は床に手荷物(といってもナイロンのボストンバッグでしたけれど)を置いていたのですが、それを飲み物が直撃です。あとで客室乗務員の中でもかなり地位の高そうなお姉さんが来て、紙ナプキンを床に敷き詰めてはとんとんしていましたけれど、しかし、かわいそうでしたね。これから旅行だっていうのに、最初の飛行機でボストンバッグびしょびしょじゃあ気分も湿るというものです。

飲み物をぶちまけるのを防ぐ方法はないかもしれませんが、自分が怪我をしないためには、飛行機内で流される安全のビデオではないですが、ベルト着用サインが付いていなくても席にいる時はベルトを締めていることですね。軽く、でもよいので。安全のためですもの。面倒ですが、ここはひとつ締めていきましょう。

銀座カラー

リピーターおばさん

ツアー旅行というのは面白いものです。確か彼の名作推理小説「オリエント急行殺人事件」で誰かがこんなことを言っていました。ありとあらゆる国籍、身分、職業の人間が乗り合わせ、一定期間どうしてもいっしょにいなければならないなんてこんな場所が他にあるでしょうか。私ならこの長距離列車を舞台に小説を書きますね、と。おそらく、作中の列車の会社の重役のセリフだったでしょうけれど、ツアー旅行もこれと同じですね。国籍と身分は、まぁある程度限定されますけれど、全然知らない人と否応なしにある程度の時間いっしょにいなければならない。ですから、誰といっしょになるか、というのは大きな問題になるわけです。

先日旅行に行きまして、それは個人旅行だったんですが、現地でいくつかオプショナルツアーを頼んだんです。同行者の誰ひとりとして国際免許を持ってなかったもんで。挙句、そこはあまり電車やバスなんかの交通機関の便がよくなかったんですよ。どういうわけだかツアーに参加しているのは私たちの他に日本人のご夫婦だけ。旦那さんはそれほどでもなかったのですが、奥さんが恐ろしい「個性さん」でした。それはもう特筆すべき方でしたよ、えぇ。

決して迷惑な方というのではないのです。見た目は田舎の、というと失礼にあたるかもしれませんが、あまり華美でなくて誠実そうな外見の方。年は60近いんじゃないでしょうか。この奥さんがおしゃべりで、というだけなら女はみんなおしゃべりだって議論になりますけれども、彼女のおしゃべりは不思議でした。聞いてもいない自分たちの今までの旅を事細かに話すのです。ホテルがどうでバスタブがどうで渡された小銭がどうで、と。私が一番耐えかねたのは、彼女がガイドさんの言葉をオウムみたいに繰り返すことでした。その日の朝にその国に着いたばかりだったので寝不足で疲れていたんですね。そこへ持ってきて田舎のおばはんがガイドさんのいうことに「はぁ、オペラハウス!」「14年も!」「31人ですか」「はぁ、二億円」「ミートパイ!」「オリンピック!」と言った具合に一々キーワードを繰り返してくるのです。これは英語の授業か、と、誰がリピートアフターミーって言ったんだ、とそういう凶暴な気持ちになってしまいました。

ただこの方はすごく丁寧で優しい方だったので後半は好きになってしまいましたけれど。妙に気になるお客さんっていますよね。